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アルコール依存症についての覚え書き

アルコール依存症は治すことが出来ない病気だと言われていて、しかし、完全に酒を断つことができれば一般的な社会生活を送ることができる、ということになっている。でも、これが難しい。前のエントリの通り、100円かそこらでコンビニで酒が買える時代だもの。
アルコール依存症から立ち直った人の話でこんなのがある。出典を明らかにすることはしないので、一つの例として読んでほしい。

その男性は、少しずつ飲酒にはまり込んでいって、仕事に支障が出る直前まで行っていた。自らこれが依存症であるという自覚が芽生えたとき、取り返しが付かなくなる前にと精神科への入院を選んだ。約2ヵ月後に退院し仕事に復帰するのだが、再飲酒を避けるため、手持ちの金を20円以上は持たないようにした*1。通勤はプリペイドカード(換金できないように一度使用したもの)か定期券を使い、昼食は弁当持参。夜の飲み会は全て断った。AA*2のミーティングにも定期的に参加した。そのような生活を何年か続けて、なんとか現在に至っている。

この例のように社会生活に復帰できたのには、2つの大きなポイントがある。
まず、職場が非常に理解のあるところであったということ。入院時も「しっかり治療してまた復帰してほしい」と上司の人は言ったそうだし、復帰後も酒宴には出られない彼のために、酒抜きの食事会を開いてくれたりしたそうだ。
もう一つは、家族の支えだ。1日20円の小遣いというのは心許ないことこの上ないが、そういうことを可能にするためには、家族の協力が不可欠なのだ。
依存症を克服するためには、本人の強い意志と、家族とその周囲の人たちのサポートが両方要る。特に(本人もそうだけれど)家族は忍耐や根気が求められる。漫画家の吾妻ひでおも、彼の作品を読んでいると家族のサポートがあって生還したのだな、と分かる。
けれど、そこまで行く前に家庭が壊れてしまった人はどうすればいいのだろう。僕もその答えを持っていない。もちろん、家族のない人であっても、社会復帰できた例はあることはあるけれど、そういう人は本当にすごいと思う。逆に言うと、そういう人は全体としてはごく少数である、という印象がある。
だから、上記の例は、本当に幸運な例でもある。家庭が壊れるぎりぎりの手前で、自分が「病気」であることに気付き、それを克服するために周囲に協力を求め、周囲もそれに応えてくれた。こんな人ばかりならいいのに、と思わずにはいられない。


僕もこの問題についての専門家というわけではないので、間違いや誤解があるかもしれない。そういう点は是非指摘して欲しい。
もし、あなたが、アルコール依存症の人に対して「怠け者」だとか「自業自得でしょ」などという印象を持っていたとしても、その人には治療が必要で周囲のサポートを必要としている状態である、ということは理解してほしいと思う。これは共依存の問題とはまた別のことだ。お互いの傷を舐め合うだけの関係ではなく、お互いを律することもできる関係が必要なのだ。

*1:20円の根拠は、「緊急時に電話を掛けるため」。

*2:AAについては、AA Japanのサイト(http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/)やWikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%8B%E3%83%9E%E3%82%B9)が参考になる。