痴漢と痴漢冤罪を無くす(減らす)にはどうしたらいいのか、ちょっと考えてみる。

更新を大分さぼっていたら、3月にして2011年初めてのエントリに。ま、今後もこんな感じで気まぐれにしか更新しないんじゃないかなー。こんなんでも読んでくれる人がいるなら嬉しい限りです。


で、なんでこのエントリを書こうかと思ったかと言うと、TwitterでこんなツイートがRTされてきたのが目に入ったから。↓

女の人達が痴漢いやだね、いなくなりゃいいのにって話してる時に「痴漢冤罪も怖いぞ!」って男の人がキレ気味にやってくる場面を時折見かけるんだけど、痴漢がいなくなりゃ痴漢冤罪もなくなるんだから、痴漢撲滅を一緒に考えてくれたらいいのにと思う。

http://twitter.com/junko39/status/44570066880180225

あー、もっともな意見だよなー、と思って。
んじゃ、痴漢(と痴漢冤罪)を無くすにはどうしたらいいんだろうってことを考えようか、と。
先に断っとくと、俺は、この問題はフェミニズムとかミソジニーとかそういう思想の問題にしなくても、社会的に合意が得られて、技術的に解決できる(解決に近付ける)方法があるんじゃないかな、という気がしてるんですね。それは具体的に何かってことを下記に書いてみようと。


1.まずは、痴漢の発生状況についてググってみた。

Google先生に「痴漢 発生場所」で尋ねてみたら*1、警視庁のサイトが引っかかって、そこから、平成22年度中の「都内における痴漢犯罪の検挙状況」というページにたどり着きました。ここ。*2http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no1/koramu/koramu8.htm#06
それを見ると、痴漢の発生時間(時間別検挙状況)、発生場所(場所別検挙状況)、被害者の年齢層(年齢別検挙状況)が分かります。警視庁なんで、東京都内限定だし、「検挙状況」がそのまま痴漢の発生状況とイコールで結べるかどうかについては慎重になるべきでしょうが、今回はとりあえずの対策案の提示にすぎない、ってことで、そのあたりには目をつぶります。つぶってください。
以下にグラフを引用します。↓


1.時間別検挙状況

はい、明らかに通勤・通学時間帯に偏ってますね。「通勤・通学時間帯である午前7時から午前10時までが最も多く、約4割がこの時間帯に集中しています」というのが警視庁の分析。


2.場所別検挙状況

電車が65.9%、駅構内が11.9%ということで、鉄道関係だけで77.8%を占めている、と。「通勤・通学・帰宅時の混雑時の電車や駅で、痴漢被害が最も多くなっています」という警視庁の分析。


3.年齢別検挙状況

10代が35.5%、20代が45.4%、とこれだけで8割以上。圧倒的に若い女性が被害に遭っているのが分かります。


とまあ、これらはだいたい実感とそう違わない結果ではないかと思います。


2.そして、痴漢が起きやすい「状況」について考えた。

で、俺が思ったのは、「これって、通勤ラッシュが、もっといえば満員電車が悪いんじゃね?」ということ。だいたい、痴漢が起きやすい要因の一つに満員電車に代表される混雑した場所の「死角の多さ」があるんじゃないかと。(で、この死角の多さが痴漢冤罪の起こる要因でもあるのでは、と。)
見知らぬ人同士が、閉鎖的な空間であれだけ体を密着させなければならない状況というのは、考えてみれば異常なことで、ラッシュ時の電車内以外ではまずありえないんじゃないでしょうか。
全然関係ない話ですが、インフルエンザが流行した時など、予防には人混みをさけるべし、なんてことを言われたりするんですが、そのたびに「満員電車で移動しとったらそんなことできんがや」と思うんですよね…。
逆に、ガラガラの電車内を想像すれば、そこで痴漢をしようとする人がいれば不自然に体を密着させようとすることになるので、それは目立つだろうから、行動にうつすのを躊躇するだろうし、行動にうつしたとしても第3者に見とがめられる可能性が高い、と考えるのが普通ではないかな、と。そして、そのような不自然な行動をとらなければ痴漢冤罪に巻き込まれる可能性も減るのでは、と。
個人で痴漢(や痴漢冤罪)に遭わないようにできることは、たかが知れていると思うんですよ。上記のグラフを見れば、「満員電車を避ける」というのが最善策に見えるんですが、それに乗らないと通勤・通学ができないとなれば、もう乗らざるを得ないわけです。
多くの人が、これに乗ると痴漢に遭う(痴漢冤罪に巻き込まれる)リスクが高いと分かっていながら、その状況に甘んじているということが見えてきますね。
この状況を何とかしないといけないんじゃないでしょうか。


3.それじゃあ、満員電車を無くす方法を考えようぜ。

ということで、痴漢が起きにくい状況にしてしまえば、痴漢も痴漢冤罪も減るんじゃないか、と俺は考えるのですが、その推論が正しかったとして、どうやったらその状況を作れるか考えてみよう、と。
具体的に、満員電車を無くすにはどうしたらいいか。
俺が思いついたのは…
(1) 電車の本数や車両数を増やす。
(2) 通勤・通学時間をもっとフレキシブルにする。
結局そんなところ。あと、男女別の車両を増やすというのもありますが、満員電車を無くす対策とは言えないと思いますので、今回はこれは除いて考えます。
(1)については、結構今でも限界に近いような気もするんですが、仮にこれが可能だったとして、たとえば電車の本数を今の2倍にしたら、ある程度は満員状態が緩和されるのではないかとは思います。ただ鉄道会社にかかる負担は相当大きくなるだろうとも思われるので、運賃の値上げなどは避けられないと覚悟する必要はありそうです。
(2)については、まだまだいける余地があるんじゃないのかなと思うんですが、どうでしょう。企業にしても、学校にしても、始業時間を揃えるメリットもあるんでしょうが、フレキシブルにした場合のメリットとどちらを取るか、って話になるのかな、と。痴漢被害に遭う人のうち35%以上が10代というのは、通学中に被害に遭うケースがかなり多いと推測されるので、ここを改善するメリットはかなり大きいような気はしますが。手始めに官公庁や公立学校から試行してみたらどうでしょうかね。
俺の足りない頭ではこの程度の案しか思い浮かびませんが、他に妙案があれば、ブログでもTwitterでもその他の手段でもいいので、どんどんみんなが発信していって、議論を深めていけばいいと思います。最終的には社会が変わっていけばいいと思いますが、犯罪や冤罪を防ぐことで得られるメリットやデメリットを分析し、コストの負担をどう考えるか、そういった具体的な議論がまずは必要なんじゃないかな、と。


4.とはいえ…

満員電車を無くしたとしても、痴漢がすべて無くなるわけではないです。それは、上記のグラフからも明らかです。その他の性犯罪を含めて、どのように社会的にというか現実的に対応していくか、という議論もまだまだ必要でしょうね。

*1:ちなみに、「痴漢 無くす」で検索するとなかなか頭の痛い結果になりました。オススメはしません。

*2:このページには痴漢以外の強姦や強制わいせつといった性犯罪全般についてのデータも載ってて、それはそれで気になるところですが、今回はそれには触れません。