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suVeneさんの質問に答えてみます。

昨日の記事に対して、質問がありましたので、返答を書いてみたいと思います。質問はこちら→http://d.hatena.ne.jp/nijuusannmiri/20070318#c1174233219

「嫌い」であることと、「差別」することについての違いについて質問が有ります。<<勘違いして欲しくないのは、「差別する」ことと「嫌う・非難する・罵倒する」ことは必ずしもイコールではない、ということ。要するに、yukiさんを「元風俗嬢だから」という理由で貶めるのは「差別」だが、例えば「yukiさんの書く文章は汚い言葉が多いから、嫌いだ」というのであれば「差別」とは言えない(かもしれない)、ということ>>


とありますが、
例えば、ある A という人が「職業の中で風俗嬢が嫌い」という価値観と、「言葉の中で汚い言葉が嫌い」という価値観を持っていて、B という人が両方に当てはまる場合、


1-1. Bさんは「風俗嬢」である
1-2. 私(A)は「風俗嬢」が嫌いである
1-3. よって、Bさんが嫌いである


という内容と、


2-1. Bさんは「汚い言葉」を使う
2-2. 私(A)は「汚い言葉」が嫌いである
2-3. よって、Bさんが嫌いである


という内容において、違いはどのようにあると考えられているか、お聞かせいただけると嬉しいです。

えーと、これは、もし実際にそのような「発言」があったら、という前提ですね。行為に移さなければ、「差別する」ことになりませんから。あと、実際にそういう発言があったとしたら、上記のような要約された内容ではなく、実物の文章にあたって、個別に判断しなくてはいけないとも思いますが、ここはそういうことに目をつぶって、ごくおおざっぱに考えてみます。
昨日の僕の記事の文脈に照らせば、1は差別行為で、2は差別行為ではない(かもしれない)ということになりますね。それが何故か、ということが質問の趣旨でしょうか。


1の場合は、AさんはBさんの属性(あるいは背景)しか見ていない、ということが問題になると思います。Bさんの一人の人間としての尊厳を、無視していることになりかねないからです。
ただし、そのような理由であったとしても、「嫌い」と言っただけでは差別行為になるのかどうかは微妙ですね。単にAさんの個人的な嗜好(好き嫌い)の表明だけであれば、「差別的な考え方を持っているんだな」とは思われたり言われたりするかもしれませんが、「差別している」とまでは言えないかもしれません。「私は風俗嬢が嫌いだからBさんも嫌いだが、だからと言ってBさんを差別するようなことはしない」と言えば、Aさんが差別心の持ち主であることは分かりますが、差別行為をしているとは言えないですね。
これは、AさんがBさんに、「風俗嬢なんだから○○しろ」とか「風俗嬢なんだから○○されても我慢しろ」というような、行為の強制や社会的・世間的な地位の固定を意図した発言があったり、そういう意図を匂わせるようなことを言ったりすれば、差別になると思います。


次に、2の場合は、少なくとも、Aさんは、Bさんが「汚い言葉を使う」程度のことは知っているわけです。そこに、AさんがBさんに対して、個人としての尊厳を一定程度認めている(ある背景・属性・集団の中の一員として見るのではなく、Bさんという独立した人格として認識している)という可能性がある、と思われます。
しかし、Aさんが「汚い言葉を使う人間は、皆社会的地位が低く卑しい人間である」という考えを披露し、「そういう人間は○○しろ」というような文脈のことを発言すれば、十分に差別行為に該当するでしょう。
そうではなくて、「私は汚い言葉が嫌いだ。だから、汚い言葉を使うBさんが嫌い」と言うだけならば、単に個人の嗜好の問題として扱われ、差別心があるとも言われないだろうし、僕も差別だとは思いません。
とはいえ、それでもBさんの目が届くところでそういう発言をすれば、Bさんに「おまえは失礼な奴だな」と非難されることもありえますね。でも、それは差別の話にはならないと考えます。


それから、これは蛇足ですが、AさんがBさんの書く「内容」について正当な批判をするということであれば、それは差別でも何でもありませんが、その批判の中にAさんの中の「差別する心」が発露されてしまうと話がややこしくなりますね。特に困るのが、Aさんが自分の「差別する心」に無自覚な場合。その場合は、Aさんは自分が正当な批判をしていると思い込んでいるので、自分が差別行為を知らず知らずしていることに気付かない、ということがありえます。そこで、BさんがAさんに対して「あなたは私に対して差別行為をしている」と指摘・批判・罵倒しても、Aさんは「は?何言ってんのコイツ」と思うだけかもしれませんね。これが、問題をさらにややこしくしてしまうのかもしれませんね。
それは、Bさんにとってはすごく理不尽なことなんですけど。