「リテラシー」とか「日本人としての責任」とか

いい加減更新しますよ。

2008年07月15日 nijuusannmiri リテラシー産経新聞とか朝日新聞とかは「色」があって、それを見抜くのが、はてなの「メディアリテラシー」なるものではなかったのか」/ちょっと、後で書くかも。「日本人としての責任」という言葉は引っかかる。

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「後で書く」とか書いといて、大分時間が空きました。
「日本人としての責任」 - 手記』という記事を読んで、少し思うところがあったのですが。


まず、「日本人としての責任」のことなのですが、どうして引っかかったのかいろいろ考えて、ちょっと書いてみようとしたのですが、どうも上手くまとまりません。
ただ一つ言えるのは、僕が日本人である(=日本国籍を持っている)のは、たまたま親が日本国籍を持っていたからなんだよな、という偶然性が「日本人としての責任」という言葉からは捨象されている感じがする、ということ。と言っても、日本という国は国籍離脱の自由もあるわけで、それをしていないという意味において「日本国籍を有し、選挙権を有する成人としての責任」というものはあるわけで、それはそうなんだよな、とも思っています。
けれども、加藤紘一氏に問われているのは、日本国民一人ひとりに問われるような意味においての「日本人としての責任」などというものではなくて、「選挙によって選ばれた日本の政治家としての責任」でしょうけど。


ただ、上のブクマコメントにも引用した辺り(元エントリの最後の段落)は、なるほどと思ったのです。以下引用↓

この記事のはてブで他に不思議なのは、はてなでは「メディアリテラシー」なるものの重要性が言われているのに、それがすっかり抜け落ちていることだ。産経新聞が抗議文から抜き出して載せたにすぎないのに、そのことを考えないで「日本人か」と言ったことに反射的にお花畑な反応をするのが、はてなの「メディアリテラシー」なるものなのだろうか。産経新聞とか朝日新聞とかは「色」があって、それを見抜くのが、はてなの「メディアリテラシー」なるものではなかったのか。

日記

これは、元々は、産経新聞のサイトの記事『http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080711/kor0807110035000-n1.htm』とこれに付けられたブクマコメントが発端なのですが。以下に冒頭部分を引用↓

自民党加藤紘一元幹事長が北朝鮮から帰国した拉致被害者5人について「(北朝鮮に)返した方がよかった」と発言したことに対し、拉致被害者の地村保志さん(53)の父保さん(81)が10日、元幹事長あてに「本当に腹が立つ」などとする抗議文を送った。

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080711/kor0807110035000-n1.htm

ほんの短い記事で、確かに抗議文/抗議FAXの全容は分かりません。
というわけで、この抗議文の全容を知りたいと思ってググってみたら、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」いわゆる「救う会」のサイトの中に全文が掲載されていました。こちら→http://www.sukuukai.jp/mailnews.php?itemid=1577
これは、読んでない人は読まれたらいいと思いますよ。
抗議文の最後の段落を引用します。↓

貴殿の様な発言は、日本の国の恥曝しと思って居ります。貴殿は日本人では無
く、北朝鮮工作員以上の人間と思って居ります。早く北朝鮮へ帰ったらよいと
思ふ。北朝鮮では日本国以上大事にしてくれると思ひます。

救う会:★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2008.07.10)本当に腹が立つ−地村保さんが加藤紘一議員に怒りの抗議文

なかなか激烈な言葉で、むしろ、産経の記事は表現をやわらげていたのだとも感じますが、拉致被害者の肉親の思いとしては、そのように言いたくなることもあるだろう、とは思います。「北朝鮮工作員以上の人間」というのは言い過ぎでしょうけれど、それを咎める気持ちは僕にはありません。
では、もう一方の当事者である加藤紘一氏の言い分はどうなのでしょうか。加藤氏自身のサイトのトップページに、今回の件についての言及があります。こちら→http://www.katokoichi.org/
そこには、加藤氏の発言の真意として、以下のことが挙げられています。

1. 拉致という犯罪を犯した北朝鮮から、「日本は約束を守らなかった」などといわれてはならない。日本人の誇りを大切にすべきである。
2. 北朝鮮が拉致を認めて謝罪したあの時、北朝鮮はアメリカの攻撃を恐れていた。だからこそ、一気呵成に交渉を進めて、拉致問題の全面解決を図るべきだった。しかるに、北朝鮮に「日本は約束を破った」という不信感と口実を与え、その後の交渉が途絶える一因を作ったと考える。

http://www.katokoichi.org/

その後に、テレビ番組内でのやり取りが記されています。(YouTubeなどで実際の番組が見られるかもしれませんが、そこまでは調べていません。)これを読む限りにおいては、やり取りから加藤氏の真意を読み取るのは、そう難しくないように見えます。
ここまで追って、ようやく、加藤氏の主張が妥当なのかどうか、ということが問題に出来るし、それに対する抗議文についての考察が可能になる、ということですね。僕としては、加藤氏の主張が妥当なのかどうかについては、もう少し関連する事柄についてよく調べなくてはいけないし、考えも深めなくてはいけない、つまり、現時点ではよく分からない、が率直な感想です。
いずれにせよ、新聞社のサイトのごく短い記事だけを読んで、うかつなコメントをするのはやめた方がよさそうだ、というよくある教訓ですか、結局。


一応付け加えときますが、このような記事を書いたからといって、僕自身にメディアリテラシーが十分に備わっています、ということでは全然ありません。nichijo_1さんのエントリに触発されて、「じゃあ調べてみるか」と乗っかっただけに過ぎませんから。