今までは社会保険事務所で、ばんばんヒントを出してもらってたような気がするけどな。

これが、→『年金記録漏れに気付かず回答か、「特別便」見直し論も : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)』

社会保険庁によると、昨年12月中に特別便を送付した約48万人の大半は、コンピューター上の名寄せにより、該当者不明の約5000万件の年金記録の中から「氏名」「生年月日」「性別」が一致する記録が見つかった人で、該当者不明だった記録の持ち主とみてほぼ間違いないという。
にもかかわらず記録訂正の申し出が少ない原因として、特別便が、具体的にどのような記録が見つかったかをあえて通知していないことが考えられる。社保庁は、通知しない理由を「見つかった記録が実は同姓同名の別人のもので、本人になりすまして年金を不正に受け取るケースを防止するため」と説明してきたが、今後、新たに見つかった記録の内容を何らかの形で示すことを含めて見直しを検討することになりそうだ。

こうなって、→『asahi.com:社保庁、年金「裏マニュアル」 特別便、訂正できぬ人も - 社会』

宙に浮いた年金記録」の持ち主を捜す「ねんきん特別便」をめぐり、社会保険庁が窓口を訪れた人に記録漏れの特定につながる助言をしないよう社会保険事務所に求めるマニュアルを作成していたことがわかった。窓口対応の手引を補足する「裏マニュアル」とも呼ばれ、「過去の勤め先を思い出せない人に事業所名の頭文字は教えない」などと厳格な内容。他人の記録の持ち主になりすます不正を防ぐためだが、厳しすぎて記録の回復が進まない一因になっているとみられる。
(中略)
ところが同18日、年金加入記録の確認に必要な事業所名▽雇用期間▽所在地――の3点に関し、窓口の社保事務所向けに別のマニュアルを送付。「最初の一文字を告げて『○から始まりませんか』などの誘導はしない」「『○○市の事業所』と告げるのは不可」などと対応の徹底を求めた。このマニュアルは一般に公開していない。

こうなった、と。→『年金確認「ヒント」OK…社保庁 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)』

社会保険庁は21日、ねんきん特別便の相談者の窓口対応で、事業所の業種や所在地、加入期間という年金記録の統合に役立つ3情報を相談者に伝えることを許可する方針を決め、全国の社会保険事務局に通達を発送した。
(中略)
今回の通達で社保庁は「相談者の立場に立って懇切丁寧に対応するよう徹底」するよう、社会保険事務所に指示。そのうえで、5000万件の該当者不明記録のうち、「持ち主とみられる人が相談者のみ」で「相談者の他の年金記録の加入期間との重複がほとんどない」場合は、〈1〉事業所の所在地〈2〉事業所の業種内容〈3〉事業所での加入期間――の3情報を伝えることを許可した。

さて、ここからは僕の個人的な経験に基づくことを書きます。なので、法的・制度的に正しいことかどうかはよく分からないことも含みますので、その旨ご注意下さい。
僕は、他の人の付き添いで、年金記録の確認のために社会保険事務所へ何度か行ったことがあるのですが、高齢だったり転職を繰り返していた人などは過去の職歴の記憶が曖昧な人も多く、また、そうでなくても短期間だったり、パートタイム・アルバイト*1だったりすると、厚生年金に加入していたかどうか分からない・覚えていない、という人も居たりします。で、そういう人は出来るだけ前もって思い出してから、社会保険事務所へ相談に行くのですが、どうしても思い出せないこともあります。
そういうときに、窓口の職員さんから具体的なヒントを教えてもらうことがありました。というのは、こちらの名前と生年月日から、ある程度の記録は端末で調べられるわけです。ただ、年金記録の確認や照会が必要な人の中には、年金手帳を紛失していたりして自分の基礎年金番号が分からなかったり、自分の身分を証明するもの(免許とかパスポートとか)がなかったりする人もいるので、即座にその人が間違いなくその記録の当人であると断定できない場合があります。その際に決め手になるのは、やはり本人からの申告であるわけです。しかし、思い出すにも何も糸口がなければ難しいよ、というのもまた分かりきった話であるわけで、そんなときに窓口の職員さんから、「昭和○○年頃、●●(地名)の辺りの会社に勤めてなかった?」とか「○○関係の仕事をしてませんでしたか?」とかのヒントをもらうとかなり助かります。実際、それで何度も救われたことがありました。*2
そういえば、

舛添要一厚生労働相は同日、記者団に「(現在の対応方法が)障害になっているなら変える必要がある。(勤務していた会社名の)イニシャルくらいは言ってもいいのかもしれない」との考えを示した。

http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2008012202081280.html

という記事もありましたが、イニシャルどころか、「『は』の付く会社じゃなかった?」と言われたこともあります。と思ったら、同じ記事のさらに下にこうあります。↓

社保庁は当初、現場の裁量で「頭に『ア』のつく会社に勤めていたことはないか」「近畿地方に住んでいたことはないか」などといったヒントを与えることを容認する考えだったが、特別便の発送直後に方針を転換。

うーん、ということは、もともと現場の判断では相談に来ていた人にヒントを教えるのは普通のことだったんじゃないでしょうか。それを、社会保険庁の「上」*3の判断で「やめなさい」となったのか。
現場の職員の人たちにしてみれば、「それ見たことか」って感じじゃないですかね。
社会保険庁ないし政府の「本音」はよくわかりませんが、少なくとも社会保険事務所の窓口の職員さんたちは、なるべく支払う年金額を低く抑えようなどという意識はなくて、むしろ、できるだけ当人の年金受給に結びつくように(年金額が多くなるように)働きかけをしてくれている、と僕は今まで感じてきたのですが*4、こういうことがあると結局泥を被るのは現場の人たちになりがちなので、既に下がってきているであろう士気がさらに下がってしまうのではないかと心配になりますね。
あと、こういうのを社保庁叩きに利用するのはいいんですが、繰り返し書いてきているように、少なくとも僕の知っている限りでは、今までの現場の職員さんたちの対応は「裏マニュアル」のようではなかった(朝日の記事にも、ちょっとだけそのようなことが書かれていますが)ので、そういう人たちを攻撃してしまうのは避けたいとも思います。

*1:アルバイト待遇でも就労時間が長かったりすると、社会保険の加入が(本来は)義務付けられています。社会保険と厚生年金は必ずセット。いい加減な会社だとそこらへんがちゃんとしてなかったりするので要注意。

*2:とはいえ、それでもなお思い出せないという困った人も居ますし、思い出しても、加入期間が不足していて結局年金の受給権が得られなかった人も居ますが。

*3:って、具体的に誰だか知りませんけど。

*4:まぁ、それもごく当たり前のことではあるんですけどね。年金をかけていた本人にとっては、もらえて当たり前のものなので。