『グエムル』を観て、パクリについて考えた。

で、パクリ疑惑についてはどうなのよ?ということなんですが、うーん、微妙。
僕がWEB上で目にした「パクリのポイント」は、①怪獣の外見、②反米トーンのストーリー、③怪獣の退治方法、あたりなんですが、他にもあったかな?
とりあえず、この3つに絞って考えてみることにします。


まず、②については、アメリカ(の軍隊)を悪者扱いした作品なんていくらでもあるし、どーでもいんじゃね、と思う。「CGをアメリカの制作会社に発注しているのに、恩を仇で返している」みたいな批判(?)があるようだけど、そのアメリカでも反米(軍)的な映画は作られてるし。例えとして適切かどうかは分からないけれど、『プラトーン』を『地獄の黙示録』のパクリとはあんまり言わないよねぇ。そういう類型的なパターン*1を踏襲しているだけのような気も…。
ま、どっちにしろ、これはそう大した問題ではないでしょう。


次に③について。退治方法自体はそう珍しいものではないので、これをすぐさまパクリに結びつけるのはどうかと思うけれど、怪獣にとどめを刺すある描写が元ネタ(劇場版パトレイバーの3作目)を想起させるのは確か。


そして、問題の①についてなんですが、僕の個人的な感想としては「黒」の判定。怪獣の造形は、確かにかなり似ています。
ただし、怪獣の動きは思ったほど似ていない、というか、完全に別物。でも、「黒」は「黒」。
よく分からないのは、この怪獣のデザインをしたのは具体的に誰なのかということ。韓国側の美術担当のスタッフなのか? そこらへんが公式サイトなどを見てもよく分からないんですね。ここからは想像なのですが、多分CGをアメリカの制作会社に発注したときに、怪獣のデザインも一緒に丸投げしたのではないかと。それで、そちらの会社のスタッフの誰かの頭の中に、『パトレイバー』に出てくる怪獣のイメージがあって、デザインしたんじゃないかな。両者の類似に気付いた人がいたのかどうかは分からないけれど、そんなところじゃないかと。


とはいえ、じゃあ、そのパクリのせいでこの映画の価値が下がるかと言えば、そうでもないでしょう、と思います。
マトリックス』は『攻殻機動隊』をパクっているけれど、映画としての評価はそれとは別にされているし、『ライオンキング』も『ジャングル大帝』のパクリだけれど同様。
それがいいことかどうかは分からないけれど、そして、たしかにパクリは褒められたことではないとも思うけれど、出来上がった作品を楽しめるかどうかという問題は、また別のことだよね、というのが僕の意見。
映画にしろ音楽にしろ、パクリの応酬で発展してきた側面は否定しがたいところがあるので、あんまり目くじらを立てすぎるのもどうかな、なんて思っちゃうんです。
あと、法的な問題もありますが、それはパクられた当事者が「著作権を侵害された」と感じた時点でアウトなんだろうな、とも思います。(僕は「侵害」まではいってないと感じてはいますが、それは僕が決めることではないですね。)

*1:それこそ『ゴジラ』の1作目は、アメリカの核実験の影響を示唆する内容で、既に反米的。それぐらい昔からありふれたパターンということ。