太宰治と私(その2)

『女生徒』を読みましたよ。いや、思いの外面白かった。
内容は、思春期の女の子のある一日をその女の子の視点を通して描いた作品、といったところかな。
短い作品だし、すぐに読める。僕は青空文庫でダウンロードして読みました。他の用事の合間に片手間で読んでいたので、一日かかっちゃいましたが。
今までは「太宰の文章(文体)は苦手」という意識が強かったのだが、この作品に関しては全然そんなことはなかった。うーん、ちょっと太宰を侮っていたのかも。
しかし、読了後に、この作品を楽しめる自分というものについて、少し考えさせられた。
ここで描かれる、思春期特有の自意識過剰ぶりは、僕にも少なからず身に覚えがあるものだ。多分、思春期のときに読んでいたら、とても好きにはなれなかっただろう。自分自身の「イタさ」を見せ付けられている気がして。
思春期を過ぎてからも、しばらくはダメだったと思う。なんというか、背中がむず痒くなる感じ?
でも、今はこれを読んで、かなり楽しめている。つまり、それだけ過去の自分を客観的に見られるようになった、ということだ。
要するに、「俺もおっさんになっちゃった、ってことかなぁ」と感じて少し悲しかった、というオチですね。


ともかく、読むきっかけを与えてくれた米光(id:yon)さんに感謝。太宰の他の作品も、そのうち読んでみようかな。9年越しの『斜陽』とか(苦笑)。