『ボーイズ・オン・ザ・ラン』

「モーニング」でいちばん面白い漫画は『とりぱん』だと前に書いたが、それが「スピリッツ」となると、何が一番かは中々言いにくい。
つまらない回が一度たりとも無いという意味では『団地ともお』(小田扉)が断トツだが、瞬発力は『中退アフロ田中』(のりつけ雅春)も侮れない。『バンビ〜ノ!』(せきやてつじ)の熱さも嫌いではないし、『20世紀少年』(浦沢直樹)は早いとこ決着をつけてほしい。


でも、今いちばん面白い(=次回が待ち遠しい)と僕が思うのは、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(花沢健吾)だ。
最初のうちは、ヘタレの主人公がだんだん成長(変身)していく話かと思っていたのだが、これが全然成長しない。もう、いろんな意味でヘタレのまま。
しかし、そこが良い。人間、そんなに簡単には変われないのだもの。
自分にとって、大切な人に何かあったとしても、何もできない駄目な主人公は、事あるごとに無力さを晒けだす。それをどうにかしたい気持ちはあるが、日常に流されていつもウヤムヤになってしまう(してしまう)。その辺の描写が素晴らしくリアルだなぁ、と思う。
ところが、物語は、主人公自身が変わらないと、どうにもならない局面を迎えた。これでも主人公は変わらないのか。ちょっと目が離せない。