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貧困ビジネス、続報メモ。

日記 社会とか時事とか

こないだのこれの続きです。以下の文章は、これを読まれているという前提で書きますので、よろしく。これ→『貧困ビジネスの一例。というか、毎日新聞のスクープなんじゃね、これ。 - 23mmの銃口から飛び出す弾丸は
毎日新聞、2009/9/29→『http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090929ddm041040026000c.html

多額の使途不明支出を計上していた生活保護受給者向けの無料低額宿泊所事業者「FIS」が、社会福祉法に基づく届け出をしないまま、名古屋市中村区で宿泊所を運営していることが分かった。名古屋市は届け出がないことを理由に開設から3年間、運営をチェックしていない。同様の施設は各地にあり、路上生活者の支援団体は「無届けは管理を逃れるためではないか。指導に及び腰の自治体も多い」と指摘している。

この施設はJR名古屋駅西口そばの市街地にある「FIS中村寮」。近くの住民によると、06年ごろから生活保護受給者らが入居を始めた。

社会福祉法は無料低額宿泊所を「第2種社会福祉事業」と位置づけ、「運営事業者は事業開始から1カ月以内に所管自治体に届け出なければならない」と定めている。

名古屋市によると、開設と同時期に、FISの担当者が市役所を訪れたため、届け出に必要な手続きを説明し、町内会の同意書の提出などを求めたが、現在も届け出されていない。定員は88人で、入所者には11万〜12万円の生活保護費が支給されているが、徴収額は分からないという。

FIS中村の施設長は取材に対し「ここは第2種施設ではない。それ以上は答えられない」と話した。市には第2種施設との認識はあるが、「無届け施設の運営を制限する法律はない」(市保護課)として、届け出の指導もしていないという。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090929ddm041040026000c.html

これはちょっと微妙なネタですね。「無届けの施設」というと聞こえは悪いですが、要するにこれは実態としては「賄い付きのアパート」でしかないわけですよ。で、利用料がいくらかは分からないわけですが、普通に営利事業であれば、その料金が適正かどうかは市場原理によって決まるわけです。そもそも行政(の中の福祉部門)が絡む話ではなくなります。
というか、営利事業であれば税務署の仕事になるはず。実はそっちの問題だよ、というのなら話は別ですが、今のところそこまでは言えないみたいですね。隠し玉がまだあるのかな。無いような気もしてきました、だんだん。
次、2009/9/29→『http://mainichi.jp/life/health/news/20090930k0000m010077000c.html

生活保護受給者向けの無料低額宿泊所運営団体「FIS」が多額の使途不明支出を計上していた問題を巡り、長妻昭厚生労働相は29日の閣議後の会見で「省の権限を活用して是正する努力をするのは当然だ」と述べ、省として問題解決に取り組む意向を明らかにした。また、「ナショナルミニマム(最低限度の生活保障)の問題にもかかわってくるので、今後、具体的基準を考える中で取り組みたい」と語り、制度の見直しにも意欲を示した。

http://mainichi.jp/life/health/news/20090930k0000m010077000c.html

「制度の見直し」は大いにやっていただくとして、これって、毎日新聞からの新政権へのエール(「いいネタがあるから、これで手柄を立ててね」みたいな。)だった、というつまらない結論になったらいやですね。いや、長妻さん頑張ってください。
で、しばらく、続報が途絶えてたのですが*1、昨日になって、朝日新聞がおもむろに参戦。2009/10/4→『http://www.asahi.com/national/update/1004/OSK200910030128.html

生活保護受給者に宿泊施設をあっせんする複数事業者が、明確な説明をせずに不当に高い家賃や食費などを保護費から徴収しているとして、全国の弁護士らが支援して受給者が月内にも刑事・民事両面で法的措置に踏み切る。順次、詐欺容疑などで刑事告訴する一方、不当利得の返還などを求める民事訴訟を起こす方針。生活困窮者を狙った「貧困ビジネス」の被害は後を絶たず、各自治体も実態調査を進めている。
(中略)
千葉市内の施設に入所していた60代男性は無断で銀行口座を開設され、07年2月〜今年4月に保護費計約120万円を引き出されたという。大阪府内でも50〜70代の男性3人が事業者に口座を管理され、1食900〜1300円と不当に高い弁当代を天引きされていた。

 昨年夏、保護費を詐取したとして千葉市事業者が摘発されたが、被害の全容が表面化する例は少ない。このため、首都圏では8月、貧困問題に取り組む弁護士らが「無届・無料低額宿泊所問題弁護団」(団長・宇都宮健児弁護士)を結成。近畿や東海の弁護士や司法書士らも近く弁護団を組織し、全国で支援のネットワーク化を図る考えだ。

http://www.asahi.com/national/update/1004/OSK200910030128.html

ほう、詐欺容疑ですか。でも、どうなんでしょうね。立証はなかなか難しいのではないでしょうか。この手の施設の入所者は騙されて入った人ばかりではないでしょうからね。そこら辺はケースバイケースかな。もちろん、騙されたのならば、被害の回復が図られなければいけませんから、こうした訴訟の動きにはこれからも注目したいですね。ちなみに、朝日の記事では団体名は特定されてません。
ま、この問題自体は以前から指摘されてきた問題でもあるので、今回の毎日新聞が団体名を特定して経理問題を取り上げたことと、朝日のこの記事は直接関係無いようにも読めますけどね。
そして、毎日新聞は社説に。2009/10/5→『http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091005k0000m070109000c.html

首都圏や愛知県内で18施設を運営する任意団体は入所者が毎月受給する生活保護費12万円から9万円の利用料を集め、食材費や職員の人件費などに充てているが、これらの経費とは別に支出全体の約3割が使途不明の「業務委託料」として計上されている。18施設で毎年計3億〜4億円にも上るとみられる。困窮者の自立を促すための生活保護費を団体側が別の目的で流用していたのだとすれば重大な問題だ。しかし、任意団体のため全体の収支を都道府県などに報告する義務はなく、どの自治体も実態把握ができていない。
(中略)
アパートなどに入居するには保証人や敷金・礼金が必要で、福祉事務所が職や住居を失った人に生活保護の支給を認める際、無料低額宿泊所を紹介することが多い。厚生労働省は本格的な実態調査に乗り出しているが、自治体が業者に路上生活者などの生活保護手続きを丸投げし、運営には口を出さないというもたれ合いも指摘される。届け出制から許可制にして監視を強めるなど抜本的な対策が必要だ。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091005k0000m070109000c.html

これは、今までの記事で指摘されてきた話のまとめかな。特に目新しい話は無いですね。社説読みのid:finalventさんの関心を引かなかったのもそりゃそうだろうな、という感じ。
「届け出制から許可制にして監視を強める」のはいいんですけど、それだと無料低額宿泊所以外の第2種社会福祉事業全般にも関わってきちゃうので調整が大変そうです。それとも、無料低額宿泊所だけ他の事業とは切り離せとでも言うんでしょうか。どっちにしても法改正まで必要な話になりそうで、今すぐどうこうできる話ではないかと。
それで、これは俺の考えですが、「貧困ビジネスを許すな」と言うのは簡単ですが、じゃあ代案を示してくれよ、とも思うんですよね。俺は繰り返し書いてますけど「貧困ビジネス」そのものが悪いとは思わないんです。元は税金の生活保護費からピンハネしてるというのは面白い話ではないけれど、これで規制を強めて業者が撤退していったら、現在その施設に居住する人たちの行き場所がなくなる可能性もあります。それでは何のための規制なのか分からない。ホームレス状態の人たちが住居を餌に不当に搾取されているので、それを是正しようとしたら、住むところがなくなってしまいましたじゃ、ね。もし、規制強化の方向で行くなら生活保護の受給用件も思い切って緩和しないとダメでしょうね。その辺の見通しが立っているんでしょうかね。立ってるよということなら、大変結構ですが。
で、結局、俺が問題視というか野次馬的に注目していた「金の流れ(の行き着く先)」はまだ出て来ません。永久に出て来ないかも。

*1:こんな記事はありましたが。→http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20091003ddlk13040265000c.html