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「ミスマッチ」の話。

これね。→『http://japan.cnet.com/blog/onuka/2009/01/21/entry_27019611/
最初はスルーしようと思ってたネタ。disなら他の人の方が上手くやるだろうし、とか思ってた。
でも、今朝になって、気が変わって、Twitterでちょこっと呟いたので、こっちにも転載。
あ、その前に。もう、この手の話題で「アリとキリギリス」とか言うの禁止な。*1


まず、元記事から引用。↓

派遣切り対策として自治体や飲食業、農業関係者等が用意した雇用企画にほとんど応募者が無く、肩透かしを食った格好になっているそうです。 前のエントリーでも書いたのですが、これは結局派遣切りされた人達が、どこまで真面目に仕事というものを考えているか良く示していると思います。

http://japan.cnet.com/blog/onuka/2009/01/21/entry_27019611/

…この後を読みたい方は、元記事をどうぞ。
あと、求人関係で言うと、介護職なんかも人手不足とよく言われてますね。
で、俺のTwitterでの呟きから。↓

雇用のミスマッチの話、「選り好み」とか言われるけど、そうか。製造業や建設業でやってきた人が、いきなり農業とか介護とか出来ると本気で思ってるのか。ミスマッチは、選り好み<だけ>が原因じゃない。異業種へ変わることへの恐れが心理的ブレーキになっている点を考えないと。あと、年齢の問題。

http://twitter.com/nijuusannmiri/status/1137591796

あと、飲食業を始めとする接客業全般に言えることなんだけど、そういう接客の仕事が苦手で製造業へ行った人のこととか全く考えてないでしょ、たぶん。「そんなこと言ってる場合か」というのは便利な言葉だけれど、接客やサービス業にどうしても向かない人、居るよね。

「若い」人材には、なんだかんだ引く手があったりする、製造業でも建設業でも。本人も異業種へ移るリスクより、そっちに行きたい色気がある。ところが、介護も農業も、本音では「若い」人材が一番欲しい。

http://twitter.com/nijuusannmiri/status/1137606399

だって、若い人はそうでない人より吸収が早いし、ってことは、教育コストが比較的かからないもの。あと、歳食って腰が痛いだのなんだの言う人より、元気な若い人の方が、雇いたいでしょ、と。もちろん人手不足の業種はそんなこと言ってられないから、多少のコストを払ってでも教育するよ、というつもりだろう。でも、コストを払うのは雇う側ばっかりじゃない。

製造業や建設業で潰しが効かなくなった40代から50代以降になると、移りたいと思うのと同時に、他の業種へ移ることへの不安もまた、若い世代より大きい。介護も農業も何の知識も経験もなくやれる程甘い仕事ではない。

http://twitter.com/nijuusannmiri/status/1137614807

ある業種で潰しが利かなくなる、ということは、他の業種でも潰しが利かなくなる、ということ。だから、余計に異業種へ転職するのには勇気が要る。そうこうしているうちにさらに歳をとってどうしようもなくなっちゃう、という悪循環にはまるケースというのもある。
余談だけれど、そこそこ年取ってる(60歳くらい以上の)ホームレスの人とかには、若い頃は紡績関係の工場勤務だったけれど、紡績自体が斜陽してって職を失って、転職が上手くいかなくて、日雇いの土木建築関係に流れて、そっちでも歳取って働けなくなって、路上へ、と言うようなケースが結構ある。斜陽産業のところは、紡績じゃなくてもいいが。だから、「そうならないように、若いうちにいろいろスキルを身に付けようぜ」というのはもちろん正しい。でも、若いうちはそれこそ「引く手」があるので問題を先送りしがちなんだよなー。

そういう個々の選択も含めて「自業自得」とか「自己責任」と言うなら、そりゃそうだが、その手の言説には「叩き」以上の意味はない。

http://twitter.com/nijuusannmiri/status/1137620483

要するに、今困ってる人に対してはどうすりゃいいのということになるわけだ。叩いた先には何があるの?、と。

問題は、雇用とか産業の構造を、製造業や建設業中心から介護や(組織化された)農業にシフトしなくちゃいけないのは、ま、確かだから、それをどう実現するかというビジョン。単に求人を用意しましたよ、で解決できる問題なら、誰も悩まない。

http://twitter.com/nijuusannmiri/status/1137630767

製造業や建設業は、かつての高度経済成長を支えた基幹産業だし、それは現在でも基本的にはそう。ということは、日本の雇用を守ってきたのもそういった産業だ。その産業自体が、もう雇用を守りませんよというか守れませんよ、と言うのなら、法で規制するよりも(規制がなくてもいいとは思わないが)、他の産業へ雇用の中心をシフトして行った方がいいだろう。
そのためには、それらの職種が十分に魅力のある仕事でなくてはならない。つまり、未経験の人に対する教育の充実もそうだし、ぶっちゃけ給料もそれなりにしないと。あと、介護とか農業とかの仕事にまつわるネガティヴなイメージを払拭していくこと。それこそ3Kなんてことではダメなのよ。
というか、製造業も建設業も3Kって元々言われてたもんな。というわけで、これ。→『派遣切られても農業や外食産業に就職できない理由を考えてみた - 狐の王国
引用とかはしないけれど、これはこれで大事なことだと思うので、読んでない人は読みましょう。期間工の給料はかなりよさげに見えるけれど、これが「大トヨタが直接雇用する期間工」の給料だということを忘れないで。下請けや関連会社や派遣の人は、当然こんな条件じゃない。「金になる」といえば聞こえがいいが(悪いが、というべきか)、そんなにいいもんじゃないよ、と。
あと、ちょっと気になるのは、介護サービス(あるいはサービス業全般)というのは、それ自体が価値のある商品なり製品を生み出す仕事ではない、つまり、形のない物を売る仕事なので、そういったものに雇用の中心を担わせていいのか、という気がする点。いや、現在でもサービス業が雇用の中心ではあるんだけれども。ただ、なんというか、観光産業に依存するギリシアみたいな国のことを思い浮かべたりして、ちょっと不安に駆られたりする。いや、これも余談。

で、介護にしろ農業にしろ、経験ない人間を教育するコストは無視できない訳で、それを誰が負担するの?という問題。業者? 被雇用者? 行政(税金)? 実際には、各々が出来る範囲で負担する、という結論になるだろうけど。

http://twitter.com/nijuusannmiri/status/1137657893

ということを、呟いたら、次の記事を教えてもらった。→『http://www.asahi.com/politics/update/0116/TKY200901160307.html
朝日の記事は消えちゃうので、あえて全文引用。↓

舛添厚生労働相は16日の閣議後の記者会見で、介護分野での雇用拡大を目指し、約2万6千人分の介護職の職業訓練費用を国が負担する方針を明らかにした。製造業を中心とした「派遣切り」で職を失った人たちを、人手不足に悩む介護・医療分野での雇用に結びつける狙い。医療分野では看護師の復職支援も検討する。

 雇用拡大に向けて、具体的な方法や財源を検討するプロジェクトチームを省内に設置する。舛添氏は「省を挙げて(雇用の)ミスマッチ状況に対応したい」と語った。

 介護分野では、失業中の人が介護福祉士の資格を取るための2年間の養成コースや、ホームヘルパー1級のための6カ月コースなど、従来の3カ月のヘルパー2級コースより高度な技能を身につける訓練の仕組みを創設。約2万6千人の介護分野の職業訓練を国の予算でまかなう方針。

 厚労省ではすでに08年度補正予算や09年度予算案に、介護業務の未経験者を1年以上雇った場合、50万〜100万円を助成する措置を計上している。

 ただ、介護分野で人材を増やし、サービスを充実させることは、将来的に保険料負担の増加にもつながる。舛添氏も「長期的に見ると、保険料引き上げも必要だろう。給付と負担のバランスについて考える必要はある」と述べた。

http://www.asahi.com/politics/update/0116/TKY200901160307.html

政府の方は、それなりにやる気のようなので、これは評価したい。これで問題が片付くとまでは言えない*2が、第1歩として。
マスコミも、もっと大きく報道しろよ、と。


これまでは、失業によって住むところまで無くなっちゃった、という人に対する緊急対策について書いてたけれど、このエントリでは、一応その状態から脱した人のことを念頭に書いた。
どうでもいいけど、この手の「叩き」って、言った人やそれに賛同・共感する人たちの溜飲を下げる以上の意味ってないよな。もうちょっと建設的な提案はないのかしら、と思ったり。

*1:アリとキリギリス - 23mmの銃口から飛び出す弾丸は』でも読んでください、と。

*2:職業訓練費用は賄ってもらえるとして、その間の生活費はどうするのか、とか。一応、未経験者を雇った業者に助成金が出るようだけど。