読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

たぶん、みんな知ってると思うけど、ホームレス問題を考えるときの前提を、ちょっとメモする。

せっかく始めた話なので、もう少しホームレスの話を続けようと思うのだけれど、その前に、前提の部分を少しメモっておきたい。
僕は、ことあるごとに「ホームレスと一口に言っても、実態はいろいろだよ」ということを発言しているのだけれど、それがどういうことなのか、もう少し書いてみよう、と。
これは、僕が今まで関わり合いになった、ホームレス・元ホームレスの人たちを思い浮かべての実感ではある。でも、それだけだと、「ホームレスの知り合いなんて居ない」「そもそもホームレスの人とは関わり合いになりたくない」と言う人たちには、たぶん、伝わらない。なので、そういう経験が無い人にでも、なんとなく理解できそうな話をする。
ホームレス問題について取り組んでいる人にとっては、それこそ自明というか常識の範疇の話ではある、と思う。


ホームレスの実態は、かなりの地域差がある。
簡単に言うと、田舎でホームレスの状態で生きていくのは難しい(不可能とは言わないが)。逆に、都市、特に大都市では生きていきやすい。都市論にまでは踏み込みたくないのだけれど、要するに、都市にはホームレスの存在を物理的に許容するくらいの余裕が、田舎と比較して、まあ、ある。
しかし、大都市でも、札幌なんかはホームレスが居ない。ゼロではないようだが、それこそ東京などと比較すると、ゼロと言ってもいいくらい、居ない。理由は簡単で、寒いから。特に冬は。同じような理由で、冬期の外気温が極端に低い北国には、ホームレスが少ない傾向がある。
では、南国、例えば沖縄なんかにホームレスが多いかというと、那覇なんかには比較的居るとは思うが、本土の大都市程ではないだろう。結局、雇用の場の有無の問題だったりする。
で、結果として、大都市圏にホームレスが集中することになる。さらに、一口に大都市圏と言っても、これも市町村単位でかなりの違いがある。はっきり言って、名古屋市と隣接する北名古屋市では、ホームレス問題に対する行政の熱の入れ方が、全然違う。これは、東海地方の独特の問題かもしれないが。


都市にはそれぞれ個性がある。
東京には東京の、大阪には大阪の、名古屋にも福岡にも北九州にも横浜にも川崎にも、その都市ごとの特徴がある。その都市と深い関わりを持つホームレスにも、当然ながら違いが出てくる。
表面的な例で言うと、大阪のホームレスの人には、犬を飼っている人が結構居る。少なくとも大阪城公園がテント村だったころは、かなりの数の人たちが犬を飼っていた。しかし、名古屋のホームレスには犬を飼っている人はほとんど居ない。逆に、猫を飼っている人が多い。野良猫というのは、それこそ都市部には結構いるものだと思うのだが、野良犬というのは、地域によってかなりその数が違うのではないか、という推測も成り立つ(名古屋では、そもそも野良犬をあまり見かけない)し、あるいは、動物に求めるある種の癒しの質の差が出ている可能性もあるかもしれない。この辺は素人考え混じりだが、都市の個性の一例として。
これは、想像可能だと思うのだが、東京の水が合わなくて、名古屋や大阪に流れる人も居るし、その逆も居る。ひとところに留まれない人というのは、確かに居る。資質の問題でもあるし、環境の問題でもある。
たぶん、僕自身がホームレスになったとしても、東京には行かないんじゃないかな、という気がする。その東京にしても、歌舞伎町に居る人、上野に居る人、代々木に居る人、ドヤ街に居る人、それぞれ違いがあるはずだし、また、流動的でもある。


何が言いたいかというと、「自分が接触したホームレスはこういう人だった」とか「自分がホームレスをやっていた時に出会った人たちはこうだった」とかの言説は、ホームレス全体から見てごく一部でしかない、ということと同時に、地域差というものを(僕も含めて)見落としている可能性があるよ、ということ。自分のごく狭い範囲の視野に映ったものを過信している恐れがある、ということ。
だから、「ホームレス対策」ひとつ取っても、その地域ごとに取り組み方は大きく違ってくるはずだ。


もうちょっとだけ言うと、ホームレスの人の中には、事実として、日雇い仕事でかなり収入がある人も居るとは思う。しかし、仕事にありつけなくて、缶拾いやコンビニの期限切れ弁当を貰って、なんとか生活している人も多い。開き直って、ボランティア・支援団体の行う炊き出しだけで「生きている」人も居る。それらの実態は、一人の人間が見聞きするだけでは、たぶん掴み切れない。
だから、web上でこの問題を論じると、どうしても抽象的な、あるいは理念的な話になりがちだ。どうも、はてなではその傾向が強い気がする。支援団体の人やそれに関わっている人がやっているブログやサイトなどでは、まだ具体的な話を読めると思うのだけれど。


「じゃあ、どうすりゃいいの」ということになるわけだが、僕にも明確な答えがあるわけじゃない。でも、僕が知っている話を、その限界を踏まえて、これから少しずつ書いていこうと思う。
次の更新がいつになるか分からないけれど、読みたい人は読んでください。



このエントリを書こうと思ったきっかけのエントリを追記。↓
「ホームレス支援」という差別 - 麻布論壇
なんでこんな当たり前の話しなきゃいけないんだと思うけれども… - 過ぎ去ろうとしない過去
本が好きだから思うこと - 兎美味し 蚊の山