母校の星・清水義範

清水義範が高校の先輩ってことは、高千穂遙も先輩なんだよね。(すいません、高千穂遙の小説は読んだことありません。)*1
清水義範の小説は中学生のときに初めて読んで、それから高校・大学・社会人になってもわりと読んでいる。まぁ、文庫でしか読んでないし、未読のも多いけど。清水義範の出身校だからって、そこの高校を選んだわけではないです。*2でも、当時の同級生でも清水義範を知ってる人は少なかったな。大半は「誰それ?」って感じで。今の生徒がどうかは知らないけど。
で、これ↓

このひとの芸は大好きなんだけど、でもこのひとってちゃんとした小説を生涯に一作も書かないつもりなの?一作くらい書いたの?

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「ちゃんとした小説」っていうのが微妙なんだけれど(僕にとってはどれもちゃんとしてるんだよね)、いわゆるアイデア一発勝負だけ、という感じじゃないものを幾つか挙げてみましょうか。

新 アラビアンナイト (集英社文庫)

新 アラビアンナイト (集英社文庫)

↑これは、「千夜一夜物語」のパロディっぽいタイトルだけど、中身は全然違います。イスラム圏の市井の人々の生活+ちょっと不思議な出来事、って感じで味付けされてて、やや薄味な印象ですけど読後感は悪くないです。イスラム圏の普通の昔話を集めてみました、というような雰囲気かな。(もちろん、基本的に全部作者の創作ですが。)
上野介の忠臣蔵 (文春文庫)

上野介の忠臣蔵 (文春文庫)

↑これね、清水義範の歴史物というか時代物の中では、最高傑作だと思いますよ。忠臣蔵を吉良側の視点で見直すという、誰かがやってそうで実は誰もやってなかったことをやった、ということだけでも特筆に価しますが(「誰もやってなかった」は言い過ぎだったみたい。)、読んでみると切なくなるんだよな。そして、きっと吉良上野介が好きになると思います。忠臣蔵の話を知らなくてこれを読んで、その後でテレビドラマとかの忠臣蔵を見たら、なんでこんなに吉良が悪役扱いなんだって疑問に思うかも。↑これはSFです。たぶん、SFマニアの人からしたら“ぬるい”かもしれない。オーソドックスと言うか古臭い感じがしちゃうかも。というか、これAmazonでレビュー書いてたわ、俺。久しぶりに読み返したらベタ褒めだったな。まぁ、3割引きくらいの気持ちで読んでもらった方がいいかな、と。「SFとしては、新しいアイデアというものがほとんどないが、それは欠点ではない。/この作品の言わんとしていることは、人間は『できることはきっとやってしまう』動物である、ということなんだと思う。/そのとき、ぼくは(あなたは)どう振舞えばいいんだろう?」ってそのレビューで書いてますが、今でも同じ気持ちですね。
神々の午睡〈上〉 (講談社文庫)

神々の午睡〈上〉 (講談社文庫)

↑これが「ちゃんとした小説」と言えるかどうか分からないけれど、読んで損はないと思います。世界三大宗教に無謀にも挑んだドン・キホーテ的な作品として、歴史に残すべき作品。僕は傑作だと思うんだけどな。清水義範の全作品の中で一番好きかも。


もちろん他にもたくさんあるわけですけど、私選としてはこんなもんかな、と。Marco11さんが既に読んだのも混ざってるかもしれないですけど、比較的最近のものから選んでみました。でも、こうやって並べてみると確かに一癖ある作品ばかりだな。「普通の小説」というと直木賞狙いで書いたともっぱらの評判の(ソースは西原理恵子の挿絵漫画)『柏木誠治の生活』ってのがありますが、僕は読んでません。

*1:あと後輩にはゼリ→とかも居るけど、よく知らない。

*2:それだったら、舘ひろしの後輩になりたかったよ。って名古屋限定のネタですいません。いや、名古屋って出身大学よりも出身高校の方を重視する傾向があるのよ。田舎って感じだね、まさに。