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まずは、この本↓を読んでの感想から。

図書館危機

図書館危機

シリーズ物の3作目。
ちなみに1作目の 『図書館戦争』の感想はここ(別ブログ)に、2作目の『図書館内乱』の感想はここに書いてあります。
はっきり言うと、僕が期待したような展開や描写はもう読めないようです。
僕が期待していたのは、敵役の「良化特務機関」に属する人たちの内面を含む描写。この機関は、武装までして検閲を実行する組織という設定*1なのだけれど、そこまでして言論統制したいという動機の部分がよく分からない。いや、建前とかお題目としての意義はかろうじて分かるのだけれど、その組織に所属している一人ひとりの人間の気持ちのあり方がよく分からないわけです。
フィクションとは言え、敵役を振られた人たちにだって感情があり生活があり人間関係や人生があるはずなのに、それが描かれていないと非常に非人間的な印象を受けます。得体の知れない組織として、それはまるでテロ組織やどこかの無法者の国家(と言われている国)の軍隊のような印象を受けるとまで言うと、言い過ぎかもしれませんが。でも、実際には(このシリーズ小説の中では)、それは日本の国家機関であるという設定なわけで、僕はそのあたりの描写に危うさを感じてしまうのです。
今作では、主人公が本(とそれに象徴される言論・表現の自由)を守るためとは言え、武力・武器を使うこと(あるいは戦闘行為そのもの)に対する葛藤らしきものが描かれていて、それはとてもいいのですが、その葛藤は「敵側」の人間にもあるはずなんです。その敵側の葛藤をもできれば描写して欲しいと、1作目を読んだときからずっと思っていたのですが、今作でもそれは叶わなかった。次作でシリーズ最終作となるようなので、まだ期待は捨ててはいませんが、うーん、ちょっと難しそうな気も…。
と、あえて苦言を呈しましたが、それ以外の部分では非常に面白く読めたし、楽しかったのも事実。好きだという気持ちが強いので、気になる点も見過ごせない、という感じでしょうか。

*1:主人公はその検閲に(武装して)抵抗する、図書館側の組織「図書隊」の一員。そちら側の描写はしっかりされている。しかし、公的機関同士で事実上内戦状態ってのは、やっぱり気にはなるな。