ポール・オースターが好きだったりする。

ようやく読み終えました。↓

ティンブクトゥ

ティンブクトゥ

ポール・オースターは、1998年頃に「ニューヨーク三部作」を読んでから、長編小説は大体読んでますね。(もちろん、翻訳されてるやつだけ。)『孤独の発明』だけ、買ってはあるけど積んだままだ。
きっかけは、卒論のテーマに安部公房を選んで、それが行き詰まったときに、大学内の生協の売店で『幽霊たち』を薦められて読んだんだんでした*1
なんというか、彼の作品は「物語についての物語」*2という感じの話が多くて、その辺が安部公房と重なるイメージがあって、卒論に向けての良い刺激にもなりました。
いちばん好きなのは、これかな。↓
ムーン・パレス (新潮文庫)

ムーン・パレス (新潮文庫)

この作品は、文学の構造的な面白さだけではなくて、通俗的な意味での面白さをも満たしていて、ひらたく言うと、青春小説。青臭くてむやみに熱い話、という印象。こういうのが好きなんです、僕は。


で、肝心の『ティンブクトゥ』なんですが、これは犬の話。というか、犬と人間の話。
はまぞう(というか、Amazon)に「ホームレスを描いた作品」という解説が載ってましたが、えーそうなの?って感じで、読んでるときには、そんなことちっとも思わなかった。僕の知ってるホームレスとはずいぶん違っていたからかな。言われてみれば、確かにその通りですが。
感想としては、うまくまとまってはいないけれど、“人”生が過酷なように、“犬”生も過酷なんな、と感じたというか何というか。うーん、犬(それも飼い犬)の一生は、良くも悪くも人間(飼い主)次第で大きく変わってしまうわけで、そういう犬と人間の関係が、何かのメタファーになっていると読み取ることは可能だし、そう読むべきかもしれないけれど、まぁ、どっちでもいいと言えばどっちでもいい。支配(権力)と被支配(従属)の構造とか、良い君主と悪い君主の問題とか、どうでもいいじゃないの。
人間が頑張ってるのと同じくらい犬も頑張ってるんだよね。
面白かったよ。

*1:在学中にそこでバイトしてたこともあって、書籍の担当の人には個人的にオススメ本を教えてもらったりしてました。

*2:メタ物語(笑)。