いや、意見ってほどのもんじゃありませんが。
こちらの記事を読んで。→『煩悩是道場 - 図書館運営に於ける「公益」とは何であるのか』
まぁ、はっきり言って図書館運営を民間に委託したところで、現在ある「公益」が損なわれるとは思えません。その点はululunさんの書かれていることに同意。むしろ、サービスがよくなる、という面の方が大きいんじゃないかな、と。
ululunさんも書かれているように、図書館はその本来の業務から利益を生み出すわけではありません。ということは、図書館を設置する自治体などから、委託料なんかの名目で運営を委託された会社なり法人なりの団体に金銭が支払われ、団体はその予算の範囲内で運営する、というのが現実でしょう。
その予算の使途はと言えば、図書などの購入費、人件費、その他の事務にかかる経費、といったところでしょうか。
委託されるのが営利企業ならば、どこかで利益を出さなくてはいけませんが、NPOなどの非営利団体ならば、最悪、人件費さえ確保されればいい、ということもあるかもしれません。その点では公務員と民間の間にそんなに差はないと思います。
ただ、確実なのは、民間に委託されれば、公務員に比べて給料は確実に下がります。例えば、公務員で手取りが20万円くらいの月収だとしたら、民間では18万円になるとか。つまり、人件費は民間に委託することによって、ある程度(かなり)削減できるでしょう、と。これは財政難の自治体にとっては大きな魅力でしょうね。
では、人件費が削減された分だけサービスの質が下がるかというと、そうとは限りません。
例えば、委託先を選定する際に、3年とか4年とかの期限を設けておき、期限がきたら再度コンペをすると決めておきます。そして、コンペの際には、それまでの運営の実績も考慮すると。そうしておけば、サービスの質が低下して、利用者から苦情が出るような団体は弾くことが可能であるだけでなく、委託先の団体も次のコンペに勝つためにもサービス向上に努力するだろうと期待出来ます。
実際、指定管理者制度と呼ばれる物の多くは、そういう風に運用されているんじゃないですかね。
で、人件費の削減が可能だと書きましたが、委託された方も人間ですから、給料をたくさんもらいたいと考えて当たり前。となれば、これまでの図書館の運営方法を見直して、無駄を省く工夫をするとか、いろいろやることがあるでしょう。浮いた分の金額が給料に(全てではないとしても)返ってくると思えば、意外なアイディアが出てくるかもしれません。*1
上記のリンク先の記事でululunさんが提案された「図書館の集約化・データベース化と検索システム等のインフラ整備」も一つのアイディアです*2し、他にも、新品の購入にこだわらない(特にベストセラー)とか、出版社と交渉して割引購入できるようにするとか、近隣の市町村で連携して「その本は、うちの図書館にはないけど、隣町にはあります。手数料(配送代程度)を払えば、取り寄せも可能です」みたいなサービスをするとか、考える余地はたくさんありそうです。
あと、個人情報の管理がいちばん気に掛かるところですが、これも条例等を整備して、委託先の団体・個人も公務員と同等の義務を課す、とすれば問題ないんじゃないかと。というか、現在でも行政サービスを民間に委託するときは以下略。
ま、経費削減とサービス向上を両立させるのは大変だろうけど、民間はみんなやってることですからね。
(2007/1/4追記)
はてブのコメントでmyrmecoleonさんからこのように指摘されていました。↓
「「その本は、うちの図書館にはないけど、隣町にはあります。手数料(配送代程度)を払えば、取り寄せも可能です」みたいなサービスをする」それ現在無料でやってますが。
というわけで、ちょっと調べてみたわけですが、地元の愛知県図書館(http://www.aichi-pref-library.jp/)のサイト内をいろいろ見てみると、myrmecoleonさんのおっしゃる通りであることが分かりました。僕なんかの思いつくことは、もうとっくの昔にやってますよ、ということですね。失礼いたしました。
とはいえ、この記事で言いたかったことは↓
- 「公立施設の運営を民間委託にすること」は、要するに「コストダウン」「合理化」の話でしょ。はっきり言えば「人件費の削減」だよね。
- 僕個人は「(図書館の)民間委託」によって、「公益が損なわれる」とか「サービスの質が下がる」というふうには考えていませんよ。
という2点なんであって、その考えは特に変化していません。